(…在るには、在るんだけど)
使えなくては意味がない。
体への負担が尋常じゃないのだ。
能力は雲雀のコピーでも、体はただの人間。
造りからして、違う。
(…少しでも無理をしたら、こんな継ぎ接ぎの体なんか一瞬にしてばらけちゃうだろうよ)
だからこそ、体が無意識にストッパーを掛けているのだ。
不相応の能力を、完全に抑え込むように。
「いやだ。もう二度とあんな気持ち悪いの味わいたくない」
もし、組織に捕まったら。
―――傀儡にされたら?
「相手が雲雀だからまだ信用できたけど、顔もなにも知らないアダムなんかに傀儡にされたら…」
想像しただけで吐き気が甦る。
―――絶対、死ぬ。
「…信用してたの?」
想像して青ざめていると、雲雀が虚を突かれたような眼でこちらを見ていた。
(なに、その顔)
「…当たり前じゃん」
腐ってもパートナーだ。
それに雲雀は、信用に値する男ではある。
(多少のひねくれはともかく…いや、多少にとどまらねーけど)
言い切った倫子に、雲雀は呆れたような溜め息をわざとらしく吐き出した。
「いつかその性分で痛い目見るよ」
「…余計なお世話だ」
―――後悔はしないよ。
あんたは多分、私が思ってるよりずっと、あんた自身が思っているよりずっと、「いい奴」なんだから。
「まぁとにかく、傀儡を操るアダムがいるなら、倫子も危険になるなぁ」
奥田が思案顔で呟く。
「あちらさんは倫子の体なんかマネキンにしか思ってないだろうし、もし…」
(───ストッパーを外されたら?)
ゾッ、と血の気が引いた。
「───…、」
きっと、また。
(あの姿に戻ってしまう)


