「あんたのお陰で、変われたんだよ」
憎んで憎んで憎みきったこの穢れた身を、あんたは受け入れてくれたから。
卑屈になる必要はないと、正面きって教えてくれたから。
―――言って、甘えるように肩に額を押し付けてきた倫子に雲雀も自分の頬を押し付けた。
「…じゃあ、お互い様だ」
こうして笑えるなら、変わっていようがいまいが、どちらでもいいか―――。
「ゴホンッ」
ふたりが周囲を気にせず甘い雰囲気に浸っていると、真横で大きな咳払いが聞こえた。
顔を上げると、金髪ワカメのロビンが気まずそうな顔で突っ立っている。
その後ろには、アナセス。
(相変わらず神々しいな)
「…くうきよめよ」
ぼそっと囁いたのは、ロビンの背中にすっぽりと隠れていたジニーだ。
まるで汚い大人を見るようなじとりとした半目で倫子と雲雀を見上げている。
そのくそ生意気な目と倫子の間で、バチッと見えない火花が派手に散った。
「…随分と日本語がうまくなったじゃねーか、チビ助」
倫子は冷めた目付きでジニーをチビ助と呼ぶ。
一時期、散々ストーカー行為をされ、プライベートを無視された過去を思うと心穏やかではない。
「人前で恥ずかしげもなくいちゃついてるようなやつが、僕をチビ助呼ばわりするなよな」
「…ジニー、やめなさい」
そんな倫子にジニーは負けじと言い返したが、諌める声にむっとなって黙る。
見れば、すらりと長身のニーロの姿もあった。
「マリア」チーム全員集合だ。
メンバー揃っての昼食らしい。
「こんにちは、倫子さん、雲雀さま」
アナセスが輝かんばかりの笑みを向けてきた。
目ん玉が潰れそうだな、と思いながら倫子も挨拶を返す。
「今から飯食うの?折角だから一緒に食おうよ」
アナセスに笑い返しながら、倫子はけろりとランチに誘う。
ご飯は大人数で食べるのが美味いというのが、倫子の持論だ。
雲雀は我関せずで、やっと巡ってきた窓口で昼食のメニューを注文している。
「はい!喜んで」
倫子の提案に、嬉しそうに頷くアナセスのなんと愛らしいことか。
あまりご一緒したくなかったロビンは黙って従うことになった。


