「マントーッヒヒヒヒヒヒヒッヒトコブラクダダダダダダダダッ」
「ダックスフーンードー!」
箱舟へと戻ると、上記に記したようになんともリズミカルだが意味不明な歌が雲雀を出迎えた。
雲雀と倫子の部屋。
集まっていたのは倫子と真鶸、鐘鬼と真醍、そして見知らぬ女性と彼女の胸で眠る赤ん坊。
先程の歌は赤ん坊に向けられて真鶸と倫子が歌ったものらしい。
雲雀に一番に気付いた倫子が、おかえり、と笑って口にした。
「おおおう、雲雀ぃ!ナイスタイミングで帰ってきやがったな!」
そうして大声を出すのはサルもとい真醍。
豪快なジェスチャーで雲雀へ来いと手を振る。
「俺の息子、見てみっそー!」
その台詞にやっと理解する。
見知らぬ女性は真醍の嫁であり、その腕に抱かれているのはまだ産まれたばかりだという真醍の息子。
淑やかな外見に涼しげな目元をした女性は、雲雀の視線に気付くと小さく頭を下げてきた。
「…いつもうちの者がお世話になっております」
真醍には勿体無いほどの器量良しらしい。
聰明な顔の彼女は雲雀に向かって赤ん坊を見せる。
見てくれ、と今にも叫び出しそうな真醍の視線をよそに、あまり興味のない雲雀がちらりと赤ん坊を見遣れば。
「……」
―――どこからどう見ても猿だった。
「…そっくりそのまま遺伝子を受け継いだんだね」
父に似すぎている彼が少し憐れだ。
赤ん坊とは総じてそういうものだとしても。
「かわい」
倫子と真鶸がはしゃぐように赤ん坊の頬を撫でた。
先程からいじられているのだろうに、赤ん坊はぐずることなく大人しくしている。
「…かわいいなあ」
そうして、ぽつり。
小さく落とされた倫子の感慨深い一言に、少しだけ雲雀の胸が痛くなる。
声には出さすとも、テレパスで伝わってくる少しのもの悲しさと、羨望、喪失感。
子を産みたいのに産むことのできない彼女の気持ちを、雲雀はきっと一生かけても理解しきれないだろう。
それでも構わないと思っているから、尚更。


