三日月の雫

「かんなは拒否して、自分の目の前で……」



よみがえる記憶。

はっきりと口にすることさえ辛くて。


それ以上言えずにいる僕の気持ちを察したのか、啓介さんは「うん、分かった」とストップをかけた。



「あの傷、その1回限りじゃないよな?」

「…はい。その後も、何度か話をしたけれど、そのたびに……」



間違いなく、僕は啓介さんに殴られるだろう。

いや、殴られるだけじゃすまないかもしれない。

良くて病院送り、悪くてあの世行きになるかもしれない。



「今も、そういう関係なのか?」



その言葉に、僕はごくりと唾を呑み込んだ。

目を閉じて、深く呼吸をし、「はい」とはっきり答えた。