そして柚羽は、それを奪おうとして……。



「永輝が使っていた灰皿だったから」



柚羽は照れくさそうに笑った。



あぐらを組みなおした時に、ポケットに何か違和感を感じる。

ポケットを探ると、指輪がふたつ出てきた。


自由になって柚羽を探すことに夢中になりすぎて、すっかり忘れていた指輪の存在。

それよりも、かんなが指にはめたままだったはずの柚羽の指輪までもがあったことに僕は驚いた。



「それ、なあに?」



手のひらにある指輪を柚羽が覗き込む。

僕は無言で小さいサイズの指輪を手に取り、柚羽の左手をそっと握り締めた。



「永輝?」