「アパートの次は大学かな……」
ざわめく国道の中。僕はぽつりと呟く。
柚羽の通っているR大。
アパートからはすぐ近くだった。
何千人もの学生がひしめき合うキャンパス。
部外者の僕が、そんな中で、たった1人の人を見つけるなんて至難の業だ。
でも、きっといつか会える。
そんな希望が僕の心にじわじわと生まれる。
何度も訪れた国道をただぼんやりと眺める。
ギャラリーも相変わらずで好き勝手なことをやっている。
そんなギャラリーにまぎれて……。
自分がとことんツイていない人間ではなかったのだと、僕は救われた気持ちになった。
少し離れた距離のところに。
――彼女が、いた……。