三日月の雫


最初に向かったのは、言うまでもなく柚羽のアパートだった。

固く閉ざされたドア。

何時間も、何日も、僕は待ち続けた。



でも、ある時。

あの日、コンビニが閉店したことを知った時と同じように、僕と柚羽の思い出の場所がまたひとつ消えたことを知った。


見知らぬ若い男が柚羽のアパートに入っていく。

部屋の中に柚羽がいるような様子ではなかった。

それを見て僕は、アパートの集合ポストの中に柚羽の名前を探した。


几帳面に貼られていたはずの【沢井】という名前がキレイに剥がされてあった。


今はもう、別の男が住んでいる。

真夜中、君に会いに何度も訪れたこのアパート。


もう、ここに君はいないんだね――。