ムースの入っている場所。
そこは、もうひとつの指輪が入っている場所でもあった。
「どうしたの?」
呆然としている僕を、かんなが覗き込む。
きょとんとしているかんなを見て、引き出しの奥に眠っている指輪の存在がバレていないと、僕はホッと胸をなでおろした。
「いや、なんでもない」
「ね、ドライブ行こうよ」
「は?こんな雨の日に?」
「うん。雨だからって、いつまでも閉じこもっているのも……ねぇ?」
あれだけ、雨の日に出かけることを嫌うかんなが珍しく誘う。
僕が呆気に取られていると、かんなはバッグを取り、足早に玄関に向かった。
「永ちゃん、行くよ?」
「……あぁ……。すぐ行く」


