「遼太郎が来てるだろう?」



元気だった?

何してた?


聞きたいことはたくさんあったけれど、限られた時間の中、そんな余裕なんてない。



「オレのいとこなんだ。何も心配しなくていいから、遼太郎と一緒に来て」

『来てって…、今どこにいるの?』

「遼太郎の家」



僕が電話したことで、遼太郎を信じることができたらしく、柚羽は「分かった」と言って、僕が切るより早く電話を切った。


――やっと、柚羽に会える。


僕は遼太郎の部屋の鏡を見て、手ぐしで髪を適当に整えた。

鏡に映る自分の顔。

ほころんだ顔が次第に曇っていく。