三日月の雫


エンジンをかけると同時に、かんなが暖房のスイッチを入れる。

冷たい空気が頬に触れる。

ほんの少し我慢すれば暖かい空気に変わるのだから、と僕はそのままにした。



「一番近いコンビニに行こうよ」



車を走らせてすぐ、かんなが言った。

一番近いコンビニ……。

僕が以前バイトしていたコンビニでもあり、柚羽が今もバイトをしているコンビニでもあった。


車内のデジタル時計を見る。


【22:21】


とても、微妙な時間だった。

柚羽はいつも22時までシフトに入っている。

何もなければすぐに帰るはずだから、僕たちが店に着く頃にはいないかもしれない。

だけど、万が一ってことも……。



「永ちゃん?聞いてる?永ちゃんの前のバイト先のことよ?」