「永ちゃん!」



靴を履いていると、コートを羽織ったかんなが僕のジャケット片手に追いかけてきた。



「忘れてるよ!」

「あぁ、ありがとう」

「あたしも行く!」



僕にジャケットを渡すと、かんなが隣に腰を下ろしブーツを履く。



「寒いから待ってろ」

「いやよ、あんな酔っ払いに囲まれるなんて!」



かんなは酎ハイを少し飲んだだけで、全く酔っていなかった。

引き止める僕を取り残して、かんなはさっさと車庫に向かった。

仕方なく僕も後に続いて、車のカギを開ける。

車の中は外の気温とたいして変わりなかった。