三日月の雫


「何度も別れ話を切り出すうちに、かんなはリストカットするようになった」



きっと柚羽にとって、リストカットなんてものとは全く縁がないのだろう。

柚羽は自分を落ち着かせるようにして肩で大きく深呼吸した。



「それが、かんなさんのそばにいる理由なのね」

「……ん……」

「……じゃあ、どうして…」



――どうして……。



そう言いかけて、柚羽は黙り込んだけれど。

僕にはその続きがなんとなく分かった。



――どうして、ここに来るの?



もしも僕が逆の立場だったら、きっとそう言っていただろう。



「どうして……。なんだっけ?忘れちゃった」