「お前……! よく無事で……!」

フェネルが驚きと喜びの混ざった声をあげました。

その真横にはラウトがいました。完全には避け切れず、

利き腕である右腕はボロボロでした。

血が流れ、黒こげになった“使い物にならない”腕でした。


「あーあ……完全に避けられたと思ったのに……」


その声は大ダメージを受けたようには聞こえませんでした。

イフェルは流石息子だと言わんばかりにそれを褒め称えます。


「こんなのスティーの痛みに比べれば平気だね」


ニヤリと笑い、ラウトは立ち上がりました。

利き腕の使えないラウトにはもう剣で戦う事は出来ません。