口に異常に執着し

性的な興奮を得る

フェティシズム

私は彼にされるがままに

その餌食になっていった

一切の性的な行為のないまま

身体の性感だけが

研ぎ澄まされていく

そして

なぜか

声を薬で奪われる無力感が

いつしか快感に変わった

足の麻痺は

薬の副作用かも知れないし

私の無力感からくる

ヒステリー発作かも知れない

何が原因かなど

どうでもよかった



歩くことを奪われ

声を奪われ

飼い殺しになり

言いなりになり

非道な異常な行為を

されるがままに受け入れ

壊される

朝になると

かすれた声が戻ってくる

壊れかけた精神と

あてのない生活と

失われた記憶と

愛のない暮らしと



決して愛ではない

担当医の非道な行為が

私に関わり執着している

というだけのことでも

今の私にはかすかな救いに似ていた

朝に戻ってくる声は

私に自分が生きていることを

思い出させた

意志のない者に

声など必要ないのに

いっそ

喉を潰して欲しい…と

病室のベッドで人知れず嗚咽した

嗚咽の音だけが

私の声の意味のすべてだった

その間に私の担当医は

私が

被虐に完全に飼い馴らされるのを

ある行為のために

待っていた