彼は薬で声が奪われていることを

熾烈な愛撫で確かめながら

どこからか細いなにかを取り出した

視界にぼんやりと何かが映り

だが

何かがわからないまま

彼が

私のパジャマのズボンを下げている

初めて下半身に触っている

私の中で何かを諦め

何かを期待し

もう戻れない地点を

心に感じたその時


いきなり内腿に鋭い激痛が走った


何かを刺している

あまりの痛みに叫んでいた

叫んでいたはずの

声はただの吐息にしかならない

彼は笑みをうかべながら

何かで内腿をえぐっていた

この痛みでも

声が出せないのを確かめている

鋭い針のような?

いやわからない

頭は思考がない

ただ激痛だけがある

叫ぶ形にだけ口が開かれて

息だけ洩れているだけ

何度も

叫ぶ

声もなく



急に痛みが軽くなり

私の顔の上に何かがかざされた

開いた口の中に生暖かい液体が

ぼとぼと落ちてくる

血の味が舌の上に広がる

視界にぼうっと

注射器のようなものが映っている

喉の奥に血の味が流れ込んでくる

次々と赤い液体が大量に

口の中に流れこんでくる

口の端から生暖かいものが流れだす

飲み込まないと

溢れてしまう

たまった血を飲み下す

そうするしかない

むせながら飲み下す

彼が口を手のひらで塞ぐ

内腿が腫れたように疼く

血を抜かれたのだ

自分の血を

飲まされている

そしてそんな責め苦にさえ悶え

激しい性感に痺れている自分がいた