その夜、彼は眠ることはなかった。真っ黒な瞳を見開いたまま、伏せをしていたのだ。彼を一見すると考え事をしているようでもあった。彼なりに何かを感じ取ったのだ。


 …この世界に自分以外の何かがいることを…。


 翌朝、彼は流れ星のような何かの落下地点へ行くことを決意していた。

 30年間、生活した廃墟の立ち並ぶ…過去の栄華があったとも感じるその都市をあとにすると、再び猛暑と強い日差しの砂漠に出た。

 最悪な環境の中を彼は…短い尾を下げ、舌を出し黙々と砂地を歩み続けた。

 …彼のその歩む姿は哀愁漂わせた…。

 だが、その姿を見て同情する人間、近づく生命体はこの世界にはもういないのだ…。