…それから、一ヵ月後、彼は廃墟の中にいた…人類が存在した時代、高層ビルが立ち並んでいたと思える砂混じりの町並み。蒸すような環境の中、日差しを避けることだけができるこの建物内で彼はしばらく身を寄せることにした。


 …彼は夜になると外に出るのだ…。

 透き通る夜空から満面なく光る星たちを見る。
 雲一つないその星空は…様々な色の光の粒たちがなにか語り合っている生命を感じる程の光景である。

 ただ、彼はこの星空を見ると毎夜必ず吠えるのである。しゃがれた声で吠えるその姿はまるで誰もいないこの世界に対し悲痛さや圧倒的孤独感を感じ、星たちの会話の中に入ろうとしているように見える。