彼方には太陽が見えた。


 春のそれらしく、薄っすらとしている。


 これから暑い季節に移るにつれ、これが濃いオレンジ色になって、中空で輝き続けるのだろう。


 僕たちは抱き合ったままでいたが、しばらくして、乱れていた服を直し、


「気持ちよかったね」


「ええ」


 と言い合って、荒かった息を完全に収めてしまう。


 長い間離れていた分、互いに話したいことは山ほどあるのだったが、まずは軽くセックスから入った。


 僕も奈々も分別がある大人同士なのだから、変に詮索したり、嫌な面ばかりを突(つつ)くようなことはしない。


 お互い、いいところはたくさんあるのだ。


 僕たち二人はそういったところを見つめていた。