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 それから僕は夜勤のバイトをしながら、自宅マンションに帰ってきたらすぐに眠って、昼過ぎに起床し、原稿を書き綴る生活を続けていた。


 疲れてはいるのだが、さすがに夏場ほど気温が高くないので、睡眠も快適に取れている。


 僕は原稿を打ちながら、奈々を想うことがあった。


 数え切れないぐらい。


 そして彼女の迷惑にならない程度にケータイに電話したり、メールしたりして、連絡を取り合っていた。


 たまに近くのファミレスで一緒に食事することもある。


 どうやら会って話を聞くに、奈々は大学を卒業したら、十分留学できそうなぐらい勉強しているようだ。


 逆に僕の方は完全にドロップアウトし、単位も落としてしまって、留年しないなら後は退学だけしか選択肢が残されていない。


 だが、僕自身、別に学歴などどうでもいいのだった。


 ここ日本では、学歴や職歴などを妙に気にし過ぎる風潮が依然として残っている。