FIN
「この町も変わんないわね」


「ああ。……物足りないだろ?」


「そんなことない。長年住んでた町だから。愛着が湧くって言うか」


「じゃあ、これからは一緒に暮らせるよね?」


「ええ」


 僕たち二人は僕の部屋に揃っていて、ゆっくりと和やかに会話し合っていた。


 しばし歓談が続き、その後、また出会えたことを祝福するかのように折り重なってキスした。


 唇同士が何度も何度も接近しては離れ、接近しては離れの繰り返しで、僕たちは交わろうとする。


 そのとき不意に奈々が、


「海見にいこうよ」


 と言った。