危険な誘惑にくちづけを

 

「「うぁ……おいしそう~~」」


 そんなに待たずに出来た料理に、わたしと水島の声が、重なった。

 佐倉君は、意地でも紫音の料理をホメないつもりのようだったけれど。

 ぽかぽか暖かそうで、いい匂いのする料理を、横眼でちらちら見ている。

 大根のとり肉みそかけと、厚揚げのピーナツあえに、大根の皮のきんぴら。

 そして、ワカメとネギとお豆腐のお味噌汁が、優しい湯気を立てている。

 おいしそうな、和食だ。

 それぞれ、料理を自分の好きな量だけよそって食べれば。

 ほっぺたが落ちそうなほど、美味しかった。

「ちぇ。
 なんだ、ほとんど塩っけがないじゃん。
 オイラ。
 もっと、醤油や、味噌味が、濃い方が好きだ……って。
 痛いなぁ、桃花ちゃん」

「お莫迦!」

 なんだか、紫音を意識しすぎてムキになり。

 無理やり料理の欠点を探そうとしている佐倉君のアタマを、ぱこっと殴って、水島は、言った。

「何も、塩分ばかり、無駄に摂取しなくても、いいのよ!
 これだけダシが出てれば、十分に美味しいじゃない。
 ……ね? 春陽」