「……やっぱり。
 今日の春陽は、春陽じゃないみたい。
 何か、嬉しいことでもあったの?」

 不思議そうに聞く、水島に、わたし、ピースサインで答えた。

「うふふ。
 今日は、ね。
 わたしの彼が、日本に帰ってきているの~~
 また、すぐ、戻っちゃうんだけど、嬉しくて」

「……はい?」

 わたしの報告に。

 水島は、驚いたように、目を丸くした。

 なんで?

「……なによ?
 その、驚きすぎの顔は!」

「だ……だって~~」

 水島は、戸惑ったように腕を組んだ。

「春陽の彼氏ってさ。
 その……いつも言ってる、あれ、だよね?
 少し前まで。
 昼間は、高校の先生なのに。
 夜になると、副業でホストをやってたって、いう」

「うん!」

「ホストの時は、ずっと№1をキープし続けてた、すごいイケメン。
 それに。
 悪いヒトなんか、ぽいって片付けちゃうほど、喧嘩にも強くて。
 しかも、お金持ち」

「そう!」

「……なのに。
 今は、春陽と同じパテシェになるべく。
 よりにもよって。
 スィーツ作りの本場の『お』フランスに留学中の……ヒトだって?」