「一体、どうして……!」

 ……こんなことになってしまったのか。

 昔、紫音と薫ちゃんとの間に、何があったのか。

 全部の疑問を、一緒くたに聞きたかったわたしの質問に、薫ちゃんは、ぞっとするほど暗い目をして言った。

「……全部、俺の、せいなんだ」

「薫ちゃん……」

「そもそも、中毒を承知であの薬を紫音に飲ませたのは、俺だし。
 ……もっと酷いことも、した覚えが、ある。
 それをどんなふうに、償えばいいのか判らずに。
 紫音から遠のいたり、近づいたりしながら、あいつにとって一番良い俺たちの関係の形を探しているはずだった」

 薫ちゃんは、自分の手を白くなるほど握った。

「紫音は、俺を許してくれた、と思ったのに。
 ……そして、春陽に出会ってから、アレはもう過去のことだと言ってくれたのに……
 ……俺は。
 俺は、あいつのどこに、何を刻んでしまったんだろう……」

「薫ちゃん、紫音に、何をしたの……?」

 いけないを薬ませるよりも酷いこと?

 あの、いつも自信たっぷりな紫音が。

 隠したココロの奥で、本当は薫ちゃんのことを怖がっているほど、酷いこと……?