危険な誘惑にくちづけを

 結果はどうあれ、わたしは、真実が知りたかった。

 本当のコトを、紫音の口から聞きたかった。

 だから、絶対。

「わたし。
 薫ちゃんと、紫音を探しに、行く」

「……オイラをヤル気にさせたまま、放って行くつもり?
 どうしても、って言うなら、オイラ。
 これから、自分の家に帰ってさ。
 春陽ちゃんの声と写真を使って、一人で慰めるしかないけど。
 ……その時。
 思わず間違って、写真をネットに流してしまうかも知れないよ……?」

 ……それでもいいの?

 なんて言ってくる佐倉君の目を見返して、わたしも負けずに低く声を出した。

「あんまり、そんなコトを言うのなら。
 わたし……ヤだけど……
 本気で、佐倉君と闘う、から」

「……声が、ばれてもいいんだね?」

「いいわけ、ないでしょ!
 だけども……今、ここで行かせてくれないのなら……
 わたし、薫ちゃんに全部話して、相談するから」

「薫ちゃん?
 ああ、電話のオカマ、な?
 ナニ?
 あいつ、警察か何か?」

 とても、そうは聞こえなかったな、と笑う佐倉君にわたしは、言った。