さらに調べたところ山室らしき人物が別荘近くでタクシーを呼んでいた事も分かった。

その結果、山室が重要参考人として任意同行を求められ、それを知った春代が自首をし、すべてを告白。

こうして事件は解決したのである。

「結局オレの考えは半分くらいしか当たってなかったワケか」

「そんなことはないでしょう」

実行犯が春代だったとはいえ、8割は当たっていたと思う。

「それに夏風邪で本調子じゃなかったんだし」

「でもな…」

達郎は難しい顔で腕組みをした。

相当気になるらしい。

結果的には達郎の推理が事件解決に結びついたんだから別にいいと思うんだけど。

「まぁいいじゃない」

被害者の妻と秘書が不倫関係にあったなんてわかるはずないんだから。

そう言おうとして

「達郎に男と女のあやはわかりっこないわよ」

なんて言ってしまった。

「大きなお世話だ」

達郎が腕組みしたまま、そっぽを向いた。

いけない、怒らせてしまったか。