月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理

数分後、捜査本部から送られてきたFAXを手渡すと、達郎はそれを食い入るように見つめた。

「どうしたの?」

あたしがFAXをのぞきこむと、達郎は遺書の文末を指した。

そこには署名代わりに、西本の判子が押されていた。

「レミ、西本は大男か」

不意に訊かれ、あたしはあわてた。

「背は160ぐらいだったと思うけど…」

体重もまた然り。

武闘派の議員には似つかわしくない風貌だった。

「西本のマンションには管理人やガードマンは常駐してるのか」

これもすぐには答えられない。

あたしは再び本部に電話して調べてもらった。

その結果、返答はどちらもNo。

「管理人は8時には帰宅で、ガードマンは緊急時に警備会社から駆けつけるってシステムよ」

それを聞いた達郎の唇が尖った。

瞳に宿る光が強くなっていく。

達郎の頭の中で論理が組み立てられているのは確かだった。

ところが次の瞬間、達郎はベッドに倒れこんでしまった。