月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理

「それにさ…」

その様子がどこかおかしくて、あたしは少し意地悪な気分になった。

「西本が個人を死に追い込むならともかく、組織が西本にソレをやるだなんて考えにくいわ」

なんて追い討ちをかけてみる。

ところが。

「…それアリだな」

なに、どうしたの?

「レミ、遺書は確かに西本が書いたものなんだよな」

達郎の視線が、まっすぐこちらを向く。

「状況はそう告げているけど…」

一体なにを思い付いた?

「遺書は押収してあるよな」

「もちろんよ」

「現物を見たいんだが、今すぐに」

「どうしたのよ」

「可能性を探りたい」

達郎のどこか憂いを含んだ瞳に光が宿った。

その様子に、ただならぬものを感じたあたしはすぐ捜査本部に電話をし、事情を告げた。

押収した遺書を持ち出すのは難しいので、現物をコピー&FAXしてもらうことにする。

あたしは部屋に設置してあるFAXの番号を告げた。