「リモコンの電源は切れてたし、室外機にも形跡はなかったわ」

「でもこれから死ぬって時にエアコンの快適さは求めないだろう」

じゃあバスローブ姿だったのはどう説明するのだとあたしは詰め寄った。

「シャワー浴びてさっぱりしてから死ぬ人間っている?」

「いやそれとこれとは話が違うだろ…」

「とにかく」

あたしは拳を握った。

「西本の自殺に不審な点があるのは確かなの」

「それに関しては異論はないけどな」

達郎はそう言いながら枕もとのインターホンを押し、梅谷さんに新しいアイスノンと砂糖入りの麦茶を持ってきてくれるようお願いをした。