「横田さん、私見たよ。葉月に『ファンデと口紅買ってきて』って言われてるトコ。いつも買ってくる昼休みの皆のジュースも、本当はお金払ってもらってないんじゃない?夏のあの時の袋も、皆の食べ物だったんでしょ?お金ちゃんと貰ってる?……ねぇ、本当は分かってるよね?友達はモノをねだったりしない」

「……そんなこと」

「でもッ、それを知って、て気づいていて、見て見ぬ振りをした私はもっと人として最低だと思う。だから……ごめんなさい」

頭を下げる良子を睨みつける明美。

「……脅すなんて、相澤さんって、ほんっとにサイテー」

「うん。……でも、お願いします。西校までそんなに遠くないはずだから。午後のテストまでに帰ってこれるように頑張るから。玉置君が手を出してないって証言して下さい。私の友達、助けて下さい。──じゃなきゃ、やっぱり先生にカツアゲにあってるって言う」

「本当にサイテー」

「うん。本当にごめんね、横田さん。でも……無理やりにでも連れて行くって決めたから──」

(──守りたいものがある)

良子はもう一度明美の手を取った。