「どうしたの?珍しく携帯なんていじっちゃって」

母が畳んだ洗濯物で両手一杯にして良子の後ろを通過し、居間の隣の和室へ入って行く。

「あ、うん。ちょっと……友達(?)からメールが来てさ──」

「良子の携帯って家族以外にも繋がるんだぁ。良かった、良かったぁ」

和室から母の能天気な声が聞こえてくる。

「しっつれーだな!」

「だって良子、友達と遊びに行かないし、勉強してないのに勉強出来るし……。お母さん心配してたんだよねぇ……」

(ちょっとちょっと、お母さん心配するトコちがくね?)

そう思うけど、長年の習慣で良子もあえて突っ込まない。