調子づいた玉置が続ける。

「時と場合って……いわばティー、オー、ピーってヤツだ。なかなかだろ?さぁ、行くぞ!!」

「あ……う、うん」

正確にはTOPじゃなくて、TPO。

TOPをトップと読んだ経験はないのか?

だいたいTPOを気にするなら普段から黒髪にしたらいいんじゃ?

変なヤンキー服もやめたらいいんじゃ?

(ああ……。でも言えない)

良子はキャップとメガネの玉置の背中を見つめる。

とにかく今日はオタクだとバカにされたり、カモだと思われてカツアゲされなければいいのだけれど。

良子はそんな不安を抱えながら意気揚々と肩で風を切る玉置の背中を、ビーちゃんと手を繋いで追った。

(ていうか、妹をいきなり私に任すなぁ!)

本当に偉いのか偉くないのか分からないヤツだ。

「待ってよぉ、玉置君……」

「絶好のプール日和じゃね?」

振り返った玉置は子どもみたいに笑った。