新しいベッド。懐かしい部屋。大きくなった『りんちゃん』。
シンは一つ一つをじっくり眺めた。帰って来れた事を確かめるように。
「シン、僕はお祝いの準備してるから。僕を呼びたい時はこのボタンを押すんだよ」
ジャックはシンの手が届きやすい所にベルを置き、リンと一度鳴らしてみせる。
「先生、これどうするんだ?」
「あ、今行きます」
店主に呼ばれてジャックが行きかけた時、リン、とベルが鳴った。
慌てて振り返るとそっぽを向いて知らん振りをしているシン。笑っているのだろう、口元がぴくぴくしている。
「こら、この悪戯っ子め」
ジャックがげんこつで頭をぐりぐりするとシンは声をたてて笑った。
懐かしい笑い声。言葉は話せなくても、笑い方はあの頃のままで。
不意に涙が込み上げてくる。
「おーい先生」
「あ、はい」
悪戯したら駄目だぞ、と涙目で額を小突くジャックにシンは素直に頷いた。



