Sin

「お元気でしたか?」

驚きのあまり言葉が出ないジャックにアレクセイは笑いかけた。すっかり大人になった彼にはあの頃のびくびくした表情は全く無い。

「今年の春からこの病院で働かせてもらう事になったんです」

アレクセイは看護師として働く傍ら、小説や童話を書いて投稿していると言う。

「なかなかすんなりと夢は叶いませんが、自分なりに頑張ってます」

小説家より看護師の仕事の方が僕に向いてるみたいですけど、とアレクセイは肩を竦めて笑った。

「……よかった。元気そうで」

待ちわびたシンの退院と、アレクセイとの思わぬ再会。嬉しい事が重なったジャックは胸がいっぱいになって上手く話せなかった。

「シン君、よかったね。退院おめでとう」

アレクセイはシンの頭を撫でて言う。こくんと頷き、シンはジャックの顔を見て目を細めた。

また泣いてる、と言いたそうな瞳。ジャックは微笑んでごまかす。

「さ、行こうか。お客人待たせちゃいかんだろ」

店主に急かされ、ジャックに抱えられたシンは医師達に見送られながら病院を後にした。