Sin

「……それを聞いて安心しました」

医師らしき男性はふと、表情を緩めた。

「例え養父としてでも、親になるという事は命を預かるのと似ていると私は思います。だから中途半端な気持ちで保護者気取りをしてほしくない」

ジャックは顔を上げて彼を見た。青い瞳からは厳しい表情が消え、微笑んでいるようにも見える。

「だから、ただ確かめたかったのです」

気を悪くされたならすみません、と医師は謝り、ジャックと店主をシンの居る病室へ案内した。

「彼に会ってあげてください」

身支度を終え、男性について中へ入る。

大きなベッドの上でシンは沢山の機械に繋がれていた。まだ意識は無く、呼吸機の音がやけに大きく聞こえる。

「シン」

ジャックは返事をしないシンの耳元で小さく囁いた。

「ちゃんと、そばに居るからな」

そっと握った小さな手は微かに温もりを取り戻している。どうか、どうか助かりますように。

「頑張れ。みんな、待ってるからな」

指先がぴくりと動いた気がしてジャックはシンの顔を見つめた。一瞬期待したけれど、彼は目をつぶったまま動かなかった。

「……彼は幸せな子ですね」

ぼろぼろ泣いている店主とシンの手を優しく撫でているジャックの様子を黙って見ていた金髪の医師は、穏やかに微笑んでジャックに言った。

「普通なら助からない状態の彼がこうして生きようと懸命に頑張っているのは、あなたにもう一度会いたいからなのかもしれませんね」