Sin

《Final Chapter
  未だ見ぬ幸福と最高の奇跡》



時は流れ、季節は巡る。


花は咲き、人々に春の訪れを知らせる。喜びを歌うように咲き誇りそしていつしか散る。

葉の緑は陽射しを浴びて深みを増し、夏を謳歌する。

秋。冷えはじめた風に木葉は緑から赤や黄へ塗り替えられ、山々を温かみのある色に染めて冬支度を始める。

やがて北風が運んでくる冷たい冬の日々に耐え、そして。

また翌年の春、花は咲くのだ。




「綺麗ですね」

窓の外をぼんやりと眺めていた女性職員が、向かいの机で帰り支度をしているジャックにふと話しかけた。

彼女が指差す先には、春の柔らかい陽射しを受けて白く輝く満開の林檎の花。

「今年は一段と見事に咲きましたね」

ジャックは微笑んで相槌をうち、手帳を鞄にしまう。

「ウェイド先生、今日は早いんですね。早退ですか?」

「ええ、これから出かける用事があって」

「もしかしてデートですか?」

彼女のからかうような問いに悪戯っぽい笑みを返し、ジャックは鞄と上着を手に職員室を出た。