Sin

『ルージャの人間ばかりを狙った通り魔事件が……』

それさえ無ければきっと、シンは刺されなかった。

『不法移民は……』

それさえ無ければ、一軒目の病院で診てもらえた。

『奴隷ごっことか……』

それさえ無ければ、シンは自殺したいと思うほどの酷い虐めにあう事もなかった。

『シンの事もあたしの事も汚い物扱い……』

それさえ無ければ、シンは母親に棄てられなかった。

それさえ無ければ――




偏見。

知らず知らず人の心に巣くう歪んだ感情。

汚い、醜い。誰もがそうと分かっているはずなのに、世界から消える事の無いもの。

それは人々の中に憎しみを住まわせ、時に殺し合いをも呼ぶ。


偏見。

それが、シンから幸せを奪ったんだ。