Sin

診療を終えて閉まっていた個人病院の扉を、八百屋の店主はどんどんと叩く。

出て来た医師は無愛想な人だったが、すぐにシンを受け入れてくれた。

「説明は後ほど」

厳しい表情でそう言い、医師は手術室へと消えた。それはシンの状態が非常に危険である事を示しているようで。

間に合う、だろうか。ジャックは手術室の前にある長椅子に座って頭を抱えた。

『ジャック、ごめんね。そして、さよなら』

『手紙が着く頃、私はもうこの世界にはいません』

冷たい不安が足元からじわじわとはい上がってくる。

『俺、ジャックの友達の分も生きる』

そう言ってくれたシン。

『俺、ジャックが世界で一番好きだ』
『いっぱいいっぱい幸せになる』
『俺、変わっただろ?』

生きづらいこの国で、前向きに生きようとしていたシン。

その彼を何者かが刺し、命を奪おうとした。


一体、誰が。

誰が、彼の幸せを奪ったんだ?