Sin

「不法移民は診ることができません」

シンを見るなり一軒目の病院は丁寧かつ冷たく断った。

二軒目の病院は扉をぴしゃりと閉め、話も聞いてくれなかった。

「くそ、この石頭どもめ!」

八百屋は忌ま忌ましげに吐き捨て、勢いよくアクセルを踏んだ。

「町外れの病院に知り合いがいるからそこへ飛ばす。あいつならきっと診てくれる」

お願いします、とジャックは頭を下げる。藁にもすがる気持ちだった。

どうか、間に合いますように。祈るように呟く。

「シン、頑張れ」

八百屋は運転しながらシンに声をかけてくれた。

まだ微かに息があるが、シンは答えない。ぐったりとジャックの肩にもたれたまま。

……なぜだ。ジャックも八百屋も胸の内で同じ疑問を繰り返す。

なぜ、命に区別をつける?

不法移民だろうが自国民だろうが、同じ命だろう?

なのに、何故――


「シン、もう少しだからな」

ジャックはシンに声を掛けつづけた。

どうか、間に合ってくれ。頼む、頼むから。