Sin

「シン!」

買い物を終え、仕事から帰ってきたジャックはアパートの前で倒れているシンを見つけて駆け寄った。

「どうした!? 具合が悪くなっ……」

抱き起こした時手に触れた、ぬるりとした生暖かい感触にジャックの血の気が引いた。

「血……?」

アパートの入口にある薄暗い明かりに照らされた道路を見遣る。十数メートル先から、黒い染みがシンの居る階段までのびていた。

「シン! 一体どうしたんだ!」

赤黒く染まった服。ぐったりした体。左腹からまだ血が出ている。

『ルージャの人間ばかりを狙った通り魔事件が――』

まさか。まさかそんな……!!

「……ック」

シンの瞼が微かに開き、彼は弱々しく微笑んだ。

「ジャック、……、」

「喋るな。今すぐ病院に運ぶ」

ジャックは家に駆け込み、受話器を握った所ではっとした。

もし。もし、救急車がシンを乗せる事を拒否したら?

また、手遅れになったら――


シーツを乱暴に掴み、ジャックは階段を駆け降りる。八百屋の店主ならシンを病院に連れていってくれるだろう。その方が早い。