Sin

『シンは汚くなんかない。これっぽっちも』

世界で一番信じているジャックの強い声が、暗闇のような黒い不安を追い払ってくれる。

なぜ、なんだろう。

母親の苦悩する姿に自分への愛情を探してしまうほど、“親”が特別な存在なのはなぜなんだろう。

ただ、血が繋がってるだけなのに。

『生まなきゃよかった』

大きく息をつき、シンは顔を上げた。黙って目を伏せているジャックに明るい声で言う。

「だからって今更母さんが心入れ換えましたって言ってきても、信じないけどさ」

「当然だ」

ジャックの口調は厳しかった。母さんの事だけじゃなく、自分の両親の事も相当怒ってんだな、とシンは思う。

「ただ、俺無理に嫌おうとするの止めた。好きなままでも嫌いになっても辛いんなら、好きなままでいようって」

「……そうか」

シンは偉いな、とジャックは悲しそうな笑顔で褒めてくれる。

その笑顔がなんだか切なくて。シンは泣きそうになるのをごまかす為にごしごしと目を擦った。

「なんて、な。こんな事言えるのもジャックが俺の事大事にしてくれて、優しくしてくれたからなんだけど」