Sin

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葉の落ちた枝の間を吹き抜けていく冷たい風が窓ガラスをカタカタ揺らす。雪の降らないこの国にも冬がやって来た。

部屋の隅にあるストーブの上で白いケトルがゆらゆらと湯気を立ち上らせている。

ジャックが仕事に行った後、シンはノートを広げて単語練習を始めた。最近の日課だ。

「J、A、C、K、で、ジャック」

毎日練習している成果だろうか。頼りない文字は相変わらずだが、少しはバランスを取れるようになってきている。

「S、I、N、で、シン」

上下に並んだ名前を眺めて一人、満足そうに微笑んだ。

「ジャック……ウェイド、だよな」

ふと、悪戯したくなる。シンは自分の名前の後ろにアルファベットを書き足した。

「シン・ウェイド」

口に出して読んでみる。なんか、くすぐったい。

「そう……なったらいいなぁ」

ジャックは息子だと言ってくれたけど、やっぱり法律とか関わってくると同じ名前を名乗るのは難しいんだろうし。

仕方ないよな、と呟き、シンは肩で小さく息をついた。