Sin

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「な、ジャック見て見て。この本、俺の名前いっぱい出て来る」

夕食後、テーブルでプリントの採点をしていたジャックはシンの弾んだ声に呼ばれて顔を上げた。

「名前?」

「うん、ほら見て」

ソファーに座っているシンが手にしているのはジャックの本棚にあった数学の教科書。

「ほら、“Sin”って。沢山書いてある」

嬉しそうなシンの頭をぽんと撫で、ジャックは笑った。

「それは“サイン”って読むんだ。『Sine』の略語で」

「え〜、サインは“Sign”だろ?」

シンは覚えたてのアルファベットを手の平に綴る。

「言語が違うんだよ。それにシンの綴りは普通“Shin”だと思う」

「ふーん」

つまらなそうに口を尖らせたシンがちょっと可哀相になって、ジャックはシンの隣に座り、もう一度教科書を覗きこんだ。