Sin

国と国の関係の変化か、政治的な思惑か。

それとも彼らを奴隷として搾取していた遠い祖先の“血”か――

「ねぇ、おじさん聞いてる?」

シンに肩を叩かれ、店主は我に帰った。

「あ、なんだ?」

「だからさ、ジャックを元気にするには何食べさせたら良い?」

やっぱりお肉かな、と考えこむシン。ふふ、と店主は笑う。

「シンは先生の事大好きなんだな」

「え、あ、うん、好き」

シンは照れたように返事をし、ごまかすように足をパタパタさせた。

「俺、父親知らないんだけど。ジャックってお父さんぽくてさ、なんか好き」

店主は目を細めた。照れながらも嬉しそうなシンの口許。

愛情とはこんなにまで人を変えるものなのかと、今更ながらしみじみと思う。

「家ではお父さんって呼んでるのか?」

カゴからオレンジを一つ取り、半分に割ってシンに手渡す。

「え、と……呼んでみたいんだけどさ」

シンはぽりぽりと頬をかきながら答えた。

「なんか、照れ臭くて。ずっとジャックって呼んでるし、いきなりお父さんっていうのもさ」