林檎をすりおろし、蜂蜜をとろりと落として混ぜる。
シンに薬を飲ませるため、ジャックは開きたくない記憶のページを辿り、昔風邪を引いた時に作ってもらった物を作ってみた。
「少しでも良い。食べられるだけ食べろ」
ようやく落ち着いたシンは小さく頷き、スプーンを口に運んだ。
二口目を飲み込むシンにほっとし、ジャックは薬を戸棚に取りに行く。
十歳だと一錠か。座り込んだまま注意書きを真剣に読んでいると、不意にスプーンが皿に落ちる音が響いた。
「シン?」
気を失ったのかと慌てて振り返る。
シンは泣いていた。涙がぽろぽろと乾いたばかりの頬を伝う。
「どうした? どこか痛くなったか?」
シンは首を横に振った。
『シン、大好きよ』
思い出したのだ。ジャックが作ってくれたのは、昔母親が作ってくれたのと同じ物だったから。



