Sin

シンはジャックの肩を押し返し、涙をいっぱい溜めた目で彼を見つめた。

「……わかんない。なんで、ありがとう?」

当惑している灰色の瞳。胸が締め付けられるような悲しい色。

「全然、ジャックの言ってる事わかんない。俺、要らない子だし、ジャックに何もしてないし」

「沢山してくれたよ」

ジャックはシンの頬を流れ落ちる涙を、撫でるようにそっと手の平で拭った。

「ずっと一人で寂しかった僕と食事をしてくれた。仕事から帰って来たら電気をつけて待っててくれた」

きゅ、とシンは唇を噛む。

「片付けを手伝ってくれた。焼き林檎を作ってくれた。お帰りって言ってくれた」

ジャックは喉元に込み上げてくるものを抑えながら、涙声で続ける。

「シンが来てから毎日家に帰って来るのが楽しかった。シンが笑ってくれるととんでもなく嬉しくて」

堪えきれなくなったのか、シンは細い声を出して泣き出した。

「シンは僕に沢山幸せをくれたんだよ。他の誰でもない、シンだけがくれた幸せなんだ。誰がクズと言おうと要らない子と言おうと、僕はシンが居てくれた事に感謝してる」

ジャックはシンの髪を撫でて言う。

「ありがとう、シン」