「食べたくない」
次の日、少し熱が下がったシンは目の前に置かれた食事を見て呟いた。
「気持ちが悪いのか?」
ジャックは心配そうにシンに尋ねる。着替えをさせた時、腹にあった大きな痣を思い出す。
「……ごめん、ジャック。食べられない」
シンは小声で謝り、俯いた。理由は口にしない。
何か食べさせないと薬を飲ませられない。病院で診てもらえない以上、置き薬でなんとかするしかない。
「林檎なら食べられるか?」
林檎と聞いた途端、シンの表情が変わった。耳を塞いで激しく首を横に振る。
「……やだ、やだ。止めて、殺さないで」
そうだ、シンにとって林檎は母親との記憶に繋がる物なのだ。
思い出させてしまった事を後悔し、ジャックは怯えるシンの前に膝をついた。



