Sin

「でもさ、幸せ過ぎて、なんか怖い」

ぽつりと呟き、シンは気づかれないように小さく息をついた。理由のない不安が心のどこかにうずくまっていて、嫌な感じだ。

俺、変なのかな。

「……そうか」

ぱっ、とシンはジャックを見上げた。考え過ぎだとか笑われるだろうと思ったのに、ジャックは笑わなかった。

「無理もないな。今まで辛い事ばっかりだったんだ」

よく頑張ってきたな、と頭を撫でてくれる。あったかい、不安を溶かしてくれるような優しい手。

なんだか嬉しくて、でも照れ臭くて。

へへ、と恥ずかしそうに笑い、シンはジャックの腕にぶら下がった。

「お、少し重くなった。背も伸びたかな」

「そのうちジャックを抜かしてやるんだ」

十歳の平均身長より小さなシン。施設にいる同い年の子の背丈が羨ましいらしく、毎朝牛乳を欠かさず飲んでいる。

「そのうち見下ろされちゃうのかな」

そう言うジャックの口調はなぜか嬉しそうだった。