しかし二ヶ月ほど通ううち、施設の職員の中にはシンに来てほしくないと思っている人が居る事に気が付いた。
「ウェイド先生に警告してください。不法移民であるルージャの人間をこの国から排除する政策に反抗していると思われたら、国からの援助を止められるかも知れない」
セイジに連れられて林檎の木に登っていた時偶然耳にした会話。シンは思わず聞き耳をたてた。
「しかし子ども達が偏見を持たずに居るのは良い事ではありませんか。それにシン君も保護が必要な子どもの一人です。本来なら施設に引き取られるはずの」
「それは分かっています。シン君に罪は無い事も。でも、彼一人のためにここに居る子ども達を犠牲には出来ません。彼は誰が見てもルージャの人間ですから」
数人の深い溜息。気まずい沈黙を破って誰かが話しだす。
「このままでは経営は苦しくなる一方です。そういう現実も考慮するべきかと」
「確かに」
「理想論だけでは子ども達を守れない。幸いシン君にはウェイド先生が居る。言い方は悪いですが、彼一人が罰せられるだけなら被害は少なくて済む。要はシン君がここに来なければ良いのです」
……そうなんだ。俺、知らなかった。
シンはぎゅ、と唇を噛む。
「……分かりました。次の職員会議で改めて意見を求めます。ウェイド先生とは先に話をしておきます」
「ウェイド先生に警告してください。不法移民であるルージャの人間をこの国から排除する政策に反抗していると思われたら、国からの援助を止められるかも知れない」
セイジに連れられて林檎の木に登っていた時偶然耳にした会話。シンは思わず聞き耳をたてた。
「しかし子ども達が偏見を持たずに居るのは良い事ではありませんか。それにシン君も保護が必要な子どもの一人です。本来なら施設に引き取られるはずの」
「それは分かっています。シン君に罪は無い事も。でも、彼一人のためにここに居る子ども達を犠牲には出来ません。彼は誰が見てもルージャの人間ですから」
数人の深い溜息。気まずい沈黙を破って誰かが話しだす。
「このままでは経営は苦しくなる一方です。そういう現実も考慮するべきかと」
「確かに」
「理想論だけでは子ども達を守れない。幸いシン君にはウェイド先生が居る。言い方は悪いですが、彼一人が罰せられるだけなら被害は少なくて済む。要はシン君がここに来なければ良いのです」
……そうなんだ。俺、知らなかった。
シンはぎゅ、と唇を噛む。
「……分かりました。次の職員会議で改めて意見を求めます。ウェイド先生とは先に話をしておきます」



