Sin

ぱっ、と。シンは俯く。大きなキャスケットのお陰で、花屋のおばあさんが向けた汚い物を見るような目に気付かずに済んだ。

なんで、だ?

なんで、ジャックは厭味を言われても俺の事を大切と言ってくれるんだ?

血が繋がってる訳じゃないのに。本当の子どもじゃ、ないのに。

偏見の目で俺達を見ている人の前で胸を張って、自信を持ってそう言ってくれるのは、どうして……?

『シンは一人の人間として大切』

何度聞かされても信じられないその言葉を証明するようなジャックの態度。自分の存在を肯定してくれる言葉。

シンの喉元に何かがつかえ、目頭が熱くなった。

「シン、行こうか。約束の時間に遅れる」

失礼します、とジャックはおばあさんに会釈する。シンも俯いたまま、同じように頭を下げた。