Sin

「緊張するか?」

ジャックは袋から何やら取り出して尋ねる。シンは俯いたまま首を横に振った。

緊張してるんじゃない。怖いんだ。薄手のシャツの長袖をぎゅっと握る。

ジャックに会った春から、一歩も外に出ていない。

絶対に殴られず罵られない安全な空間。安心して呼吸出来る場所。

ここから、外へ足を踏み出すのだ。偏見の目や罵倒を浴びるかも知れない、外の世界へ。

じわりと汗が額ににじむ。鼓動は早く打ち、嫌でも体が震える。軽い吐き気がして息がしづらい。

……怖い。逃げ出したい。

微かに震えているシンの前に、ジャックは膝をついた。

「シン」

名前を呼ばれたシンは顔を上げる。

不安そうな灰色の瞳がジャックを見つめた。